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人の数だけ真実がある

「全く!相手の書いていることは嘘ばっかり!」

訴訟では種々の書類が交わされますが,相手の言い分とこちらの言い分がぴったり一致することはまれ。 
「相手は嘘ばっかりついてる!」とお互いに言い合う場合がほとんどです。

さて,ここでいう「嘘」とはなんでしょう。

人は誰しも自分の記憶こそが真実であると考えています。 
(中には懐疑的な人もいるでしょうが)

ですからそれに反することを言う相手は「嘘をついている」,

となってしまうのです。

しかし嘘というのは

「真実に反していると認識しながら偽りを述べること」

つまり「故意に」真実に反したことを言う場合をいいます。

だとすれば,ほとんどの人は「嘘」など述べていないのです。

自分の記憶が正しいと信じ,それに従って話しているに過ぎない。

その記憶が客観的な真実に反していたとしても,それは「嘘」ではなく,単なる記憶ちがいでしかないのですが,相手からすれば故意に偽りを述べているようにしか感じないのでしょう。

人の数だけ真実がある。

同じものを見て,同じ出来事を体験しても,心に残る部分は人それぞれです。

「自分自身の記憶も,自分に都合良く再編集されているかも知れないな」

くらいの鷹揚な考えでいれば,世の中の争いごと(特に夫婦喧嘩!)も少しは減るかも知れません・・・・

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